徳川家康が名付けたお寺 塚越の「東明寺」

幸区には徳川家康公が名付けたお寺があるのをご存知でしょうか?
天気のいい日に子どもと出かけて、いつもとは違う道を歩いてみよう!と通りかかったこちら、後で調べてみるとなんと誰もが知っている徳川家康とゆかりのあるお寺でした。
規模は大きくないものの、調べてみると歴史価値の高い絵も所蔵されている立派なお寺です。
「東明寺」の由来

東京の芝増上寺の末寺で江戸時代後期に編纂された『新編武蔵風土記稿(しんぺんむさしふどきこう)』によると、東明寺は1589年(天正17年)に「浄円(じょうえん)」という僧がここに住んでいました。その当時は寂れた場所で正式な寺号はなく、浄円坊と呼ばれていました。
浄円の没後は増上寺から「貞蓮(ていれん)」という僧が住み、徳川家康が鷹狩りのため小杉の西明寺に泊った際に給仕にあたりました。この時に家康公から、「西明寺の東にあるので東明寺」と1613年(慶長18年)に名前をたまわったそうです。
参道から本堂へ


塚越本通りにあるバス停「東明寺前」から伸びている参道は石畳がきれいに掃き清められていて、つるっとした石なのでベビーカーでも通りやすかったです。
左には庚申さまが2体いらっしゃいました。屋根や鉄格子がありますので風化せずしっかり形が残っています。そういえば北加瀬1丁目や夢見ヶ崎にもありました。幸区は庚申塔が多い地域のようです。


参道をそのまま進むと道路を一本挟んで本堂の入り口になります。
門には葵の紋がありました。やはり徳川家康と縁があることを示しているようです。
入ってすぐ左には鐘楼、その奥には水子供養地蔵尊があります。
本堂は階段で上がる形になっています。
力強い龍の彫刻


正面の本堂には龍の木彫りの力強い彫刻がありました。
近くで見ると迫力があり目に色付けがされ、生きているかのようでドキッとしました。
梁にも立体的な龍の彫刻があり、今にも飛び出してきそうな力強さに圧倒されました。
本堂を正面にして左側にある手水はとてもスタイリッシュで、こちらにも龍の彫刻があり口から水が出てくるようになっていました。川も近いことから水の神様である龍をたくさん飾っているようです。
歴史価値の高い所蔵
参道に建てられていた解説を読むとこちらのお寺には「紙本着色閻魔府之図(しほんちゃくしょくえんまふのず)」(作者不詳)が所蔵され、川崎市重要歴史記念物に指定されています。
保存の都合上残念ながら一般公開はされてませんが、掲示されている写真を見る限り色がたくさん使われ描きこみもかなりぎっしりとされている技巧をこらした絵で、大きさも縦191cm横154cmと大画面なので歴史記念物になったのもうなづけます。

幸区に400年以上も残っているお寺があるなんて知りませんでしたが、身近な場所でも実際に訪れて調べてみるといろいろな発見があり面白いです。
しかも徳川家康と縁があるので地元のちょっとした自慢にもなりますね!
地元の人からも「東明寺だより」という印刷物を楽しみにされる方やお墓参りをされる方もいらっしゃり、地域を見守るようなお寺でした。
一度訪れてみてはいかがでしょうか。
エリア情報
東明寺
住所:神奈川県川崎市幸区塚越2-2-118
アクセス:JR南武線「矢向」駅から徒歩約12分

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