「川崎」駅近く、昭和が息づく手作り豆腐「二津屋豆腐店」
川崎市幸区の近代的なマンションが立ち並ぶエリアを少し抜けると、閑静な住宅街です。そこには、まるで昭和の映画セットがそのまま現代にあらわれたかのような、不思議な一角があります。創業から変わらぬ製法で豆腐を作り続ける「二津屋豆腐店」です。
効率化が優先される2025年の現代において、手間暇を惜しまない「手仕事」の尊さを教えてくれる街の宝物のようなお店です。2023年11月にもご紹介しましたが、今回は、多くのファンを惹きつけてやまない二津屋豆腐店の魅力と共に、店主夫妻の想いについて深く掘り下げます。
以前の記事はこちら
https://www.house.jp/areainfo/kawasaki/shopping/grocery/kawasaki-nitsuyatohuten-w459-20231123/
お豆腐はどこ??
お店が見えると、まず目に飛び込んでくるのはレトロなショーケース。そして、お店の中のピカピカに磨かれた道具。しかし、初めて訪れる方はここで少し不思議な体験をすることになります。正面に見えるシンクの中に、お豆腐が見当たらない……?


戸惑いながら店内を見渡していると、奥からお店のお父さんが、弾けるような笑顔で声をかけてくれました。
「ははは!みんなここを見るんだけどね、実はこっちだよ!作りたてを冷やすのはこっち!」

お父さんが指さした先、ショーケースのすぐ裏側にある大きなシンクの中を覗き込むと、そこには真っ白なお豆腐たちが、水の中でぷかぷかと気持ちよさそうに浮かんでいました。
注文を受けるたび、お父さんが大きな水槽から丁寧に豆腐を掬い上げてくれます。
毎日食べたい「実直な味」。豆腐・豆乳・ジャンボの至福
今回、私がいただいたのは、手作り豆腐、豆乳、そしてそのネーミングも味も最高なジャンボという名のさつま揚げです。

まず、お豆腐はシンプルに冷奴でいただきます。最近流行りのクリームのように濃厚な豆腐とは異なり、二津屋豆腐店のお豆腐は非常にスッキリとした後味です。しかし、噛みしめるほどに大豆本来の滋味深い味わいが喉の奥に広がります。「これなら毎日食べたい」と思わせてくれる、飽きのこない実直なおいしさです。

その豆腐の風味をダイレクトに凝縮したのが、豆乳です。一口目はぜひそのままで、二口目にはちょっぴり塩を足してみてください。塩気が加わることで大豆の天然の甘みが程よく引き立ち、まるで、コクが豊かな冷製のスープのようです。

そして、外せないのが「ジャンボ」です。お父さんに注文すると、「はーい、ジャンボ!」という威勢の良い掛け声とともにショーケースから取り出してくれるのが、ザ・昭和感!
おでん種ですが、ぜひ、トースターで軽く焼き、しょうが醤油で召し上がってみてください。これまでのさつま揚げの概念を覆す、フワフワと柔らかい食感。中には具がぎっしりと詰まっていて、ジャンボなのにあっという間に食べ終わってしまいます。まさにジャンボな主役級の逸品です。


「好きで始めたから」午前5時から始まる店主夫妻の情熱
お店の裏側について、お父さんとお母さんにお話を伺うことができました。
「仕込みは毎朝5時ぐらいから。7時から8時の間にかけて仕上がっていくよ。」
この冬も、厳しい寒さが続いています。朝5時に作業を始めるということは、起床はさらに早い時間。冷たい水、重い大豆、冬の厳しい寒さ……。お豆腐屋さんの仕事は、私たちが想像する以上に過酷なものです。思わず「大変ですね」と声をかけると、お父さんはこう笑って答えました。
「好きで始めた仕事だからね。そんなに苦じゃないんだよなぁ。」
その笑顔には、長年この街の食卓を支えてきた自負と、仕事を心から楽しむ職人の強さがありました。その温かな人柄が豆腐に移るからこそ、二津屋豆腐店の味はこれほどまでに優しく、心に響くのかもしれません。

川崎市幸区の路地裏で、今日も静かにお豆腐が水に揺れています。お父さんの「はーい、ジャンボ!」という声を聞きに、そして本物の豆腐の味を確かめに、ぜひ足を運んでみてください。そこには、忘れかけていた「心の豊かさ」が待っています。
エリア情報
二津屋豆腐店
住所:神奈川県川崎市幸区中幸町1-28
アクセス:JR東海道線、JR京浜東北線、JR南武線「川崎」駅から徒歩約10分
電話:044-522-0649
営業時間:8:30~17:30
定休日:日曜日
駐車場:なし
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