地域の歴史を伝え、地元を見守る幸区の「御嶽神社」
今回ご紹介するのは、東明寺前の参道から道路を挟んで向かい側にある御嶽(みたけ)神社です。JR南武線「鹿島田」駅から徒歩10分ほどの場所にあります。
こちらの神社は創建年代が明らかになっていませんが、1800年頃に編纂された「新編武蔵風土記(しんぺんむさしふどき)」に記載があることから少なくとも200年以上の歴史があります。
祀られている神様は創建当時のものはわかっていませんが、現在は「日本武尊(ヤマトタケルノミコト)」です。
階段を登る立派な本殿
境内を入って目に付くのは、階段を14段ほど上がったところにある本殿です。
この日はよく晴れていて、本殿の屋根の中心にある木彫りの龍が輝いているようでした。
実はこの本殿の盛り土は「塚越」という地名の由来となった「塚越古墳」の土を使っていたそうです。
左右に鎮座している狛犬。向かって左側の狛犬の足元には、狛犬の子どもがいます。小さくてかわいらしいので、ぜひ訪れた際は確認してみてください。
向かって右側の狛犬は足元にまりを持っていて、花柄の装飾と色も付いています。
広々とした境内
境内も広々としていたので子連れの遊び場にもなります。塀でぐるりと囲まれているので小さな子が飛び出す心配もなさそうです。
訪れたこの日は秋でしたので黄色く色づいた木々もきれいで、いいお散歩コースでした。
もっと落ち葉だらけかなと思っていたのですが、きれいに掃き清められていて大切にされている様子がうかがえます。
こちらの神社では専属や常駐している神主さんはいないのですが、「氏子会(うじこかい)」という組織で運営をしているそうです。
地域の歴史を伝える
創建年代が不明なのでミステリアスに感じ、御嶽神社について調べてみました。
この神社には写真に写っている鳥居とは別に、もう一つ鳥居があったのですが、東日本大震災で被災し失われてしまいました。
その鳥居には「維時寛政元龍舎巴酉三月吉且」と記されていました。これは「今このときは寛政元年で星の宿りは巴酉三月吉日」という内容です。
そして「龍舎(りゅうしゃ)」という文字は、年回りを表す言葉です。あまり使わない表現ですが、あえて使用しているのは水路に囲まれていた土地柄、水の神様である龍が身近な存在であったのではないかと言われています。
確かに多摩川や鶴見川が近いので水が多い土地柄というのもうなづけます。
この鳥居が失われてしまったことも、東日本大震災の影響が広範囲に渡っていたことを後世の人々に伝えるのではないかと感じました。
本殿の盛り土を円墳から使用した際に、刀剣や南北朝時代のものと思われる板碑が出土したというエピソードもあり、何気なく立ち寄った神社にも歴史があることを感じました。
季節の催し物も開催
御嶽神社では毎年元旦祭、節分祭、例大祭が行われています。
9月に行われる例大祭はかつては豊作の年のみおこなわれていたそうですが、現在では「とにかく賑やかに盛り上がる催し物を」と時代に合わせた演目がおこなわれ、境内が人でいっぱいになるほどのにぎわいをみせるそうです。
子連れで夏のいい思い出になりそうですね。今から楽しみです!
エリア情報
「御嶽神社」
住所:神奈川県川崎市幸区塚越1-64
アクセス:JR南武線「鹿嶋田」駅から徒歩約11分
季節の催し:元旦祭、節分祭、例大祭
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