4年ぶりの本格開催!鶴見伝統の「蛇も蚊も祭り」
「蛇も蚊も祭り」
こちらの行事を初めて知った際、「どのように読むの??」と一瞬考えてしまうような見慣れない名称だと思いました。
読み方は、蛇も蚊も(じゃもかも)と読み、とても古くからある行事だそうです。
一般的な祭りの名前に比べると、なにやら特殊な感じがして興味がそそられます。
本格的な開催は4年ぶりとのこと。以前発祥の地である「道念稲荷神社(どうねんいなりじんじゃ)」をご紹介しましたが、今回はそのお祭りの様子をお伝えします。
祭りのおこなわれる「生麦明神神社」は、生麦駅の裏手山側にある杉山神社の分院です。
また“蛇も蚊も祭り”という珍しい名前になった由来の逸話をお聞きしました。
「300年余り前のこの地域は漁業と農業が共存する村であった。疫病が流行り困った人々は、大蛇で退散させようと考えた。そこで至るところに生えていた萱(カヤ)で大蛇を作った。それを担いで「蛇も蚊も出たけい」、「日和の雨けい」と勇ましい掛け声で疫病退散を祈った。それ以来、この地に疫病が発生したことがなかった」
このような逸話から、蛇も蚊も祭りがおこなわれるようになったそうです。
現在は6月の第1週目の日曜日に実施されるようになり、約2600世帯5つの町内会でおこなわれる行事になったそうです。
5つの町内をめぐる大蛇神輿
お祭りのために運ばれた太鼓には、明神神社から出発する2つの町内会の「原西」と「原東」の名が刻まれています。
“大蛇”をお神輿のように担ぎ、各町内を回るとのこと。
取材中に近所のご婦人が話をしてくださったのですが…
「息子はね、今の住まいは柳町なの。だから今日はね息子のお嫁さんは、柳町を手伝っていて、息子は実家のある原西を手伝っているの・・・。お嫁さんに息子が嫌われないか心配よぉ~」
と毎年ハラハラするそうです(笑)。こんなところも下町らしい感じがしてほっこりしてしまいました。
さて“大蛇”を作るのは、昔から男仕事のようです。
早朝から準備が始まり、お祭りの始まる13時ごろを目途に、縄と萱が編み込まれ、徐々に蛇の様な長さに。
その長さは、約20m、胴回りは1mにもなり、さらに二体も作るのだそう。幾重にも束ねた萱と縄を引きながら成形し、絶妙な加減で、大蛇神輿が仕上がっていきます。
また以前は、多く収穫できていた萱も今では貴重なようで、大黒ふ頭の方で収穫し、一週間ほど日干しをしてから使用するそうです。
いずれにしても、長年の風習に従い丁寧に作り上げる様子は見ごたえがあります。
仕上げに顔部分を作っていきます。
赤く塗った木の枝で角、びわの葉を耳に、赤と黒で色づいた津免多貝(つめたガイ)を目玉に、菖蒲を編んだものを舌に、1mの板をしっぽとして飾り出来上がりです。
境内に向けて二体がどっしりと顔をそろえ、その長さといい迫力があります。
まさに大蛇という感じで、疫病退散の祭りに担がれるのも納得です。
これから神事がおこなわれるようで、町内の方たちの手で、白菜や人参などの野”や酒樽などが奉納されていきます。
神聖な儀式から始まるお祭り
おごそかな雰囲気の中、杉山神社の宮司さん(神主さん)がみえて宮出前の儀式が始まりました。
次々と各町内会長さんが祈りを捧げていきます。
最後には、大蛇2体にお清めのお酒を飲ませて神事が終わりました。
ここから、二体の蛇を担ぎ境内を数周、次に5つの町内会をまわりだします。
夕方5時を目途に宮入りし、二体を絡み合わせとぐろを巻いて置き、翌日を迎えます。
翌朝9時には、神明社境内にて解体し燃やされ、これをもって“蛇も蚊も祭り”の終了です。
昔の風習を大切にして、近隣に住む方たちの健康や繁栄を祈り、生麦の街をよりいい街にしたいといったみなさんの想いが伝わってくる伝統行事でした。
こういった行事がいつまでも続いていってほしいですね。今回は蛇も蚊祭りの模様をご紹介いたしました。
エリア情報
蛇も蚊祭り
住所:神奈川県横浜市鶴見区生麦3-13-37(神明社内)
アクセス:京浜急行本線「生麦」駅徒歩約5分
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