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川崎の凱旋門!?文化財として現存する「川崎河港水門」

2021.08.26

先日、ランチ帰りに川沿いを散歩していたらヨーロピアン風の不思議な建造物を発見しました。

こちらなんだかわかりますか?
調べてみたら未完に終わった運河計画の一端で設けられた水門だそうです。

多摩川を背に構えるアンティークな水門は通称「川崎の凱旋門」とも呼ばれているのだとか。

30年近く川崎区に在住しておきながら、近所にそんな異名をもつ造形物が存在していたことに驚きです。
同時になぜこの建造物ができたのか興味が湧いてきました。

巨大カリフラワーのような飾りがふたつ?

「川崎河港水門」は、こぢんまりとした小さな駅である京浜急行大師線「港町駅」から川沿いを少し歩いたところにあります。

ある晴れた夏の日、川の流れる音を聞きながら緑が生い茂るじゃり道を日傘をさして歩いていると真っすぐ先に水門がみえてきました。

とても独特な造りをしています。上部にあるのはカリフラワー?またはブロッコリー?のように遠くからはみえます。
なんだか周りにある工場地帯の建物とは一線を画す建造物で異彩を放っていました。

興味津々で近づいてみると、古びた案内板がありました。

かつて川崎には幻の大運河計画があった

そこに書かれていたのは、
さかのぼること大正時代、川崎の地で物資の輸送をより円滑にするため工場用地の拡大を図る運河・河港計画があったそうです。

その一環として1928年に水門が建設。
川崎市のさらなる発展を図ろうとの期待が込められた一大計画だったのだそうです。

しかし、一大計画は第二次世界大戦の勃発により、当時の社会状況・国益と合わなくなったことから完成することなく幻となり消えてしまいました。

そして最初に造られた水門だけが残されたそう。

なるほど。
都市計画の一環としてこうした幻の計画が存在したけれど、紆余曲折あり、水門だけが現存する状態になったわけですね。

二度とつくることのできない建造物が次世代に継承しつづけるという素晴らしい文化に触れて地元愛がさらに深まります。

案内板には水門の設計についても説明がありました。
鉄筋コンクリートと金森式鉄筋煉瓦が併用されていて、門構頂部にある飾りは、かつてこの地で採れた梨や桃などがカゴいっぱいに入った様子をモチーフにしているとのこと。
土木構造物としては極めて装飾的なものと記録されています。

コンクリートとレンガのコラボがハイカラさを生み出していたのですね。
最初にこの建造物を発見した際に気になった装飾も、まさか名産品があしらわれていたとは考えもしなかったです。

工業地帯で労働者の街のイメージがある川崎南部にも、農業で生活を営む時代があったのかと街の魅力を再認識する良い機会になりました。

国の登録有形文化財として保存されています

スケールの大きさ、そして芸術的デザインで1998年には、国の登録有形文化財として登録されています。

さらに大正から昭和にかけて造られた水門の中でも、いまでも現役である水門は全国的にも類をみない非常に珍しいものだそうです。

国指定ということ、希少なものであるということが地域の誇りになりますね。
都市化が進んでもこれからも残り続けてほしいです。

この水門は屋外にあって、いつでも自由に見学できますので、お近くを通りの際は、ぜひチェックしてみてくださいね。

川崎の地を約80年もの間見守ってきた建造物から、川崎の歴史に触れてみませんか。

エリア情報

川崎河港水門

住所:神奈川県川崎市川崎区港町66番地
アクセス:京浜急行大師線「港町駅」北口または南口から徒歩約8分
TEL:044-200-2111